― 季節を味わい、暮らしを整える ―

「ひな祭り=子どもの行事」と思われがちですが、
本来は季節の節目に、健やかさと美しさを願う日本の行事。
忙しい日常の中でも、食卓を少し整えるだけで、
暮らしに静かな豊かさが生まれます。

今回は、
おうちで楽しむ大人のひな祭りテーブルをご紹介します。


1,ひな祭りは「上巳の節句」

ひな祭りの正式名称は「上巳(じょうし)の節句」。
もともとは、季節の変わり目に心身の穢れを祓い、
健やかな一年を願う行事でした。
だからこそ、ひな祭りの料理は
華やかさの中に、身体をいたわる意味が込められています。


ちらし寿司は、
酢飯で疲れた身体を整え、
海老は「長寿」、れんこんは「先を見通す」、
錦糸卵は「金運や豊かさ」を表すなど、
縁起のよい食材を一皿に集めた祝いの料理。
春を迎える節目に、心身の巡りを整える役割を担ってきました。


蛤のお吸い物は、
対になった殻でなければぴたりと合わないことから、
良縁や調和の象徴とされてきた食材。
同時に、ミネラル豊富で滋養があり、
季節の変わり目に弱りがちな身体をやさしく支えてくれます。
澄んだお出汁と白い器の取り合わせは、
ひな祭りらしい清らかさを食卓にもたらします。


菜の花などの春野菜は、
冬のあいだに溜まったものを外へ出し、
身体を目覚めさせる役割を持つ食材。
ほんのりとした苦味は、
春を迎えるための自然なデトックスでもあります。
白磁の器に映える瑞々しい緑は、
季節の訪れを視覚からも感じさせてくれます。



2,白い器でつくる、大人のひな祭りコーディネート


大人のひな祭りにおすすめなのは、
甘さを抑えた静かな華やぎのある
色を足しすぎないテーブルコーディネート。

真っ白な器をベースにすることで、
・錦糸卵の黄色
・いくらの赤
・菜の花の緑

といった料理そのものの色が主役になります。

白い器は、祝祭感を煽りすぎることなく、
空間を上品にまとめてくれる存在。
可愛らしさよりも、品のある華やかさを楽しむのが、
大人のひな祭りの醍醐味です。



3,行事を「暮らしの楽しみ」に変えるということ


立派なお雛様を飾らなくても、
豪華なご馳走を用意しなくても大丈夫。

・いつもの料理を、少し丁寧に盛り付ける
・季節を感じる器を選ぶ
・家族や自分自身のために、席を整える

それだけで、ひな祭りは
行事から、暮らしの楽しみへと変わります。

器は、料理をのせる道具であると同時に、
季節や文化を受け止める存在。
だからこそ、日々の食卓にこそ、
行事の意味が自然と溶け込んでいくのです。



まとめ
— ひな祭りを、静かに味わう大人の時間 —


ひな祭りは、誰かのためだけの行事ではなく、
自分自身の暮らしを整え、春を迎えるための時間。

白い器に、季節の料理をのせ、
空間ごと楽しむひとときは、
日常の中にある小さな贅沢です。

今年のひな祭りは、
おうちで、静かに、そして美しく。
器とともに、季節を味わってみてはいかがでしょうか。